小型機器や薄型機器を快適に冷やす先進の放熱部材「ベイパーチャンバー」

スマートフォンが熱くなった経験はありませんか?電子機器や機械のシステムの過度な熱は、性能の低下を引き起こす原因となります。その為、エネルギーの無駄を最小限に抑えることが必要です。
薄型、軽量を可能とした冷却システム「ベイパーチャンバー」のご紹介です。
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目次
1.ベイパーチャンバーとは?
ベイパーチャンバーは、高い熱伝導性を備えた冷却デバイスです。さて、高い熱伝導性を保つ放熱部材はどのような仕組みなのでしょうか。
- 蒸発と蒸気の拡散
ベイパーチャンバーの内部は中空構造となっており、液体が封入されています。熱源からの熱によりで液体が蒸発し、蒸気が発生します。蒸気はベイパーチャンバー内で拡散し、低温部分に向かって移動します。 - 凝縮と液体の戻り
低温部分で蒸気が冷却されると、再び液体に戻ります。この凝縮した液体は再び高温部分に向かって移動します。この繰り返しで、熱を効率的に運ぶことができます。 - 均一な熱伝導
ベイパーチャンバー内の液体が均一に蒸発・拡散・凝縮するため、デバイスの表面に均一な熱が広がります。これにより、デバイス全体で熱を均一に分散させることができます。
ベイパーチャンバーは、熱伝導ができる金属(アルミや銅など)やグラファイトよりも高い熱伝導率を持ち合わせ、稼働部品を使用しない為、故障やメンテナンスなども必要ありません。金属フィンなどに比べると軽量、かさばらないなど、小型化を可能とした放熱部材です。

2.ベイパーチャンバー、ヒートパイプ、ヒートシンクの特徴比較
ベイパーチャンバー | ヒートパイプ | ヒートシンク | |
---|---|---|---|
熱伝導率※1 | 平面方向の熱伝導率 10,000W/mK |
銅 約10,000-100,000W/mK |
アルミニウム 約200-250W/mK 銅 約380W/mK |
冷却方法 | 二相冷却 | 二相冷却 | 空気冷却 |
形状 | シート状 | 棒(パイプ)状 | フィンを並べた形状 (板状、剣山状など) |
価格 | ヒートパイプ、ヒートシンク と比較すると高コスト |
ヒートシンクと比較する と高コスト |
比較的低コスト |
耐久性 | 耐久性が高く、故障 しにくい |
耐久性が高く、故障 しにくい |
シンプルな構造で 故障しにくい |
放熱の特徴 | 平面方向へ均一に 素早い熱拡散ができる |
熱源から離れた場所への 素早い熱移動ができる |
空気に触れる面積が広いほど、 放熱効率が高くなる |
その他特徴 | 薄型で軽量“面”として 熱を周辺に広げる |
“線”として2点間で 熱を伝える |
熱源との接触面積が小さい場合には 放熱効率が落ちる |
※1 熱伝導率 引用:熱設計の本-第二版-(日刊工業新聞社)
3.Boyd corporationベイパーチャンバーの特徴
- お客様のニーズを生かしたカスタム対応が可能(「ベイパーチャンバーの構造と仕様」参照 )
- 厚み0.3mm~8mmの対応が可能
- Boyd corporation製のヒートシンク他との組み合わせが可能
- Boyd corporationの熱シミュレーションソフトウェア(SmartCFD)を活用することで、より効率的な提案が可能
4.ベイパーチャンバーの構造と仕様
使用用途(環境・条件)により各材料の選定、シミュレーションを行い、最適な製品をご提案します。

上部カバー/下部カバー
材質 | 製造方式 | |
---|---|---|
銅 | スタンピング | エッチング |
銅合金 | ||
ステンレス |
ウィック(内部液体の流れを調整)
種類 | ||
---|---|---|
焼結粉末 | メッシュ | エッチング |
ポスト(強度の調整)
分離タイプ | 一体タイプ | ||
---|---|---|---|
切削 | 焼結粉末 | スタンピング | エッチング |
封止処理
種類 | ||
---|---|---|
拡散接合 | ろう付け | レーザー溶接 |
サイズ・厚さ
サイズ | 厚さ |
---|---|
最大 450×450mm | 最小 0.3mm |
5.使用用途
アプリケーション | 用途 | 発熱 | サイズL×W(mm) | 厚さ(mm) | 材料 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ゲーム コンソール |
CPU/DRAMの冷却 | 150-250W | 150 x 150 | 3-5 | 銅 | ![]() |
基地局向け 機器 |
パワーアンプの冷却 | 50-100W | 100 x 100 | 2-4 | 銅 銅合金 |
![]() |
サーバー | CPU/DRAM/ ストレージの冷却 |
200-400W | 80 x 150 | 3-4 | 銅 | ![]() |
インバーター(IGBT) | IGBTの冷却 | 500-2000W | 450 x 450 | 3-8 | 銅 | ![]() |
ノートPC | CPU/GPU/ DRAMの冷却 |
15-30W | 220 x 60 | 0.5 | 銅合金 | ![]() |
スマート フォン |
CPUの冷却 | 5W | 80 x 50 | 0.3-0.4 | 銅合金 | ![]() |
0.4 | ステンレス |
6.ベイパーチャンバー付きヒートシンク製品
Boyd corporationのベイパーチャンバーはヒートシンクとの組み合わせが可能です。
ベイパーチャンバーと組み合わせることにより、アルミや銅などの金属素材のみと比較して10~50倍の熱拡散能力を有し、より均一な放熱が可能です。

ヒートシンクとベイパーチャンバー付きヒートシンクの温度分布比較
- ヒーターサイズ:10x10mm
- ヒーター電力:100W
- ヒートシンクサイズ:120x120x24mm
- べーパーチャンバー:110x110x2.5mm
- 外気温:25℃
- 風速:3m/s

製品一例

- 熱源:180W
- サイズ:137x128x34mm
- 熱抵抗(Rsa):0.18 C/W
- ファン動作点:31.1CFM/0.22”water

- 熱源:1440W
- サイズ:200x250x41mm
- 熱抵抗(Rsa):0.10 C/W per 480W module
- ファン動作点:67CFM/274Pascal

- 熱源:1980W(~660W/各熱源)
- サイズ:200x290x90mm (LxWxH)
- 熱抵抗(Rsa):0.065 C/W

- 熱源:200W
- サイズ:85x56x29mm
- 熱抵抗(Rsa):0.20 C/W
- ファン動作点:18CFM/145Pascal
7.「ベイパーチャンバー」のお問い合わせはSDSへ
Boyd corporationの「ベイパーチャンバー」他、放熱部材に関するお問い合わせは、下記フォームよりお気軽にご連絡ください。