FANレスPCの熱対策で14℃下げた話 「熱ゴム®」導入事例
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当社が放熱(熱伝導)シートの取り扱いを始め3年が経過いたしました。
各社ならではの検討事例があり、本記事ではその中から実際にご採用いただいたケースを、ご許可を得てご紹介します。

目次
1.採用企業と用途
採用企業
株式会社ダックス様
用途
FANレスPCの放熱部材として
採用部材
熱ゴム®R13A1200 熱伝導率(W/mk):5.0以上
※製品仕様の詳細はこちらをご覧ください。
高い熱伝導性、驚異の5W/mK!シリコーン系放熱シート熱ゴム®「R13A1200」
2.PCのサイズ、気になりませんか?
限られた設置スペースや筐体の薄型化が求められる現場では、PCの小型化は大きなテーマです。特に、装置組み込みや省スペースの制御盤では、わずかな体積の差がレイアウトや保守性に直結します。
3.FANレス設計の難しさ
「HFBX-600T」という製品を開発する際、頭を悩ませたのは熱の問題でした。
ファンがないため、
- 自然放熱に頼らざるを得ない
- 限られたスペースで効率よく熱を逃がす必要がある
- CPUや電源からの熱をいかに拡散させるか
といった点が課題となります。設計図上は問題なく見えても、実際に組み立ててみると、接触の不備や微小な隙間により、思ったほど熱が伝わらないケースが発生します。
4.「熱ゴム®」という選択
問題を解決する鍵となったのが、「熱ゴム®®R13A1200」という熱伝導シートです。
この材料の主な特徴は、
- 柔らかいから基板の凹凸にピタッと密着
- 圧縮できるから省スペース設計が可能
- 振動や温度変化でも剥がれにくい
- 高い熱伝導性でCPUの熱を素早く逃がす
「柔らかいのに熱を良く伝える」という一見矛盾する性質が、実際の製造現場では非常に有効であることがわかりました。
5.実際の使い方
使い方はシンプルです。発熱する部品とヒートシンクの間に、この「熱ゴム®」を挟むだけです。
熱の流れの概要
CPU/IC → 熱ゴム® → ヒートシンク → 筐体外部
構造
※熱ゴム®をHeatsinkとSubstrate間に挟み、
HeatsinkとSubstrateを螺子止めしています。
この構造により、接触抵抗が大幅に低下し、熱を効率よくヒートシンクに伝達することが可能となりました。
6.温度測定結果
→14℃の改善効果
温度を14℃下げられたことは、電子部品の寿命に大きく影響します。一般に「温度が10℃下がると寿命が約2倍になる」と言われており、今回の改善により製品の信頼性を大きく高めることができました。
7.現場目線での材料選定
今回の成功のカギは、机上の「最適性能」よりも、現場で扱いやすく確実に効く「使いやすい性能」を優先したことにあります。
実際の製造現場では、
- 部品表面には、目に見えにくい凹凸が残っています。
- 組み立て時には、わずかな歪みや応力が入り込みます。
- 温度が変われば、材料は膨張・収縮を繰り返します。
つまり、カタログ上の「理想」だけでは対応しきれない現実があります。こうしたばらつきにしなやかに追従し、隙間をきちんと埋められる柔軟性こそが、熱ゴム® の真価です。
8.まとめ ~実際に採用されたケースを例に可能性を考える~
株式会社ダックス様の事例は、カタログ値よりも実環境下での界面条件・ばらつきを見据えた材料選定が成果に直結することを示唆します。
FANレス設計では、限られた体積・放熱経路・組立公差を前提に界面熱抵抗の低減と実装再現性をどう確保するかが鍵です。本事例は、その解のひとつとして柔軟材料の価値を裏づけています。
SDSは「熱ゴム®」のサンプル提供を行っています。低荷重での密着性や微小隙間の充填性、温度サイクル下での安定した伝熱特性を、ぜひ実機でお確かめください。
株式会社ダックス様の「HFBX-600T」はこちら
株式会社ダックス様の製品はSDSまでお問合せください。
9.放熱(熱伝導)シート「熱ゴム®」のお問合せはSDSへ
薩摩総研の熱ゴム®(熱伝導シート)に関するお問合せ、仕様確認、ご相談は、代理店であるSDSへお寄せください。
一部製品はECサイトにてご購入いただけます。
SDSのケーブル通販サイト「蛙屋」:>>熱ゴム®
柔らかいといっても、どれくらい柔らかいのか?
実際に触って確かめていただけるよう、サンプルの無償提供も可能です。
仕様書PDFは下記お問合せフォームからご用命ください。
お近くの拠点の営業が対応いたします。




